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後悔先に立たず

先週の土曜日に元上司のお見舞いに行ってきました。

以前のブログにも書きましたが、公私ともにものすごくお世話になった、
私が唯一尊敬するかたです。8月の始めに書いたときは余命3ヶ月でした。

その後入院された事は聞いていたのですが、ご本人が病名や残された
寿命を把握されていることもあり、お会いしてどんなことを話せばいいのかと
お見舞いに行くことに躊躇しておりました。
(バカですね、時間がないというのに・・・)

そんな中、うちの社長がお見舞いに行くということを聞き、是非ご一緒させて
欲しいとお願いして、やっと踏ん切りがついたわけです。

あれから2ヶ月以上経ってしまいましたが、先週の時点であと3ヶ月ということを
聞き、例え2ヶ月でも伸びてくれたことに嬉しく思っていました。
ところがお見舞いに行く前日、肺炎を発症してあと1週間と聞かされました。

非常に辛かったですが、それでも命あるうちにお会いすることができるので、
私はホッとしていました。躊躇しているうちにこの世からいなくなってしまわれては、
なぜもっと早く行かなかったのかと一生後悔するに違いありませんでしたから。

 

お会いしたら昔の思い出話をたくさんしよう。

 

日本全国、夏も冬も常に一緒に飛び回りましたねと。
徹夜徹夜の毎日で、二人とも会社で無意識に日中からイビキかいて寝てましたねと。
キツかったけど、あの頃が一番楽しかったですよと。

 

病室に入ると、最後に会った2ヶ月半前の面影は消えていました。
自力では起き上がれないほどにやせ細ってしまって・・・

「○○です。来るのが遅くなってしまい申し訳ありません。」

・・・・・

何よりも辛かったのは言葉を話せなくなってしまっていたことでした。
思わず手を握りしめました。大泣きしそうになりましたが、親族の方が
たくさんいらっしゃったので、ぐっと堪えました。

色々と話したかったのですが、言葉になりません。
また多くの親族の手前ということもあり、言いたかったことも言えません。

相手が誰なのかも理解できていないのではと思えるほどに反応も乏しく、
意思の伝達さえ出来ない状態になってしまっています。
何か言葉を発しようとされるのですが声が出ません。
かろうじて聞き取れる言葉は「違う」の一言のみ。

親族の方たちが、何を伝えたいのか紙に書いてもらおうと紙とペンを渡しますが、
手に力が入らないためなかなか思うように字が書けません。
体を支えてもらって書きやすいように紙を前に持って行き、4人がかりでサポート
しながらようやく書き終えましたが、誰にも理解できない文字でした。


しかし、私は一目で理解しました。

 

そこにはカタカナで私の娘の名前が書かれていました。

「〇〇〇ちゃんは大きくなったか?」
今はお互い別々の会社で、その方は社長さんになられてもう十数年ですが、
私に娘が生まれてからずっと、お会いするたびにこの言葉をかけてくれていたのです。
字を書いた後、私をじっと見つめ、指を差そうとする仕草をされていたので確信し、
再び涙がこみ上げてきました。

周りは「何を言いたいのかわからない。」と口々に言い、もう一度書いて
もらわなければ分からないと・・・

 

ところが、そこで私は不要な気遣いをしてしまったのです。

親族の方たちを差し置いて、私へのメッセージだったということが分かってしまうと、
気を悪くされるのではないかと。
悪くするはずがないのに・・・。
この判断がそのあと後悔の尾を引くことになるわけですが。

そこでなぜ、「分かりますよ!有難うございます!大きくなって今はカミさんの背を
追い抜いてしまいました。」と言ってあげなかったのか。
必死の思いで書いてくれたのに、一番気遣いが必要な人への配慮を怠ってしまったのです。

 

後悔しても仕方ありません。
まだ猶予は残されており、今週末にもう一度お見舞いに行くことにしました。
人が少なければ、例え一方通行であっても色んな話が出来るのではないかと。

それまで持ちこたえて欲しいと心から願っております。

 


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コメント 5

グランチェスター公

仕事ちぅやのに泣きそうになったやんけ!

家族より長い時間一緒に過ごしてきても、こう言うときってやはり壁があって、身内に気を使わなくてはいけない雰囲気って分かりますよ

ALBERTさんが尊敬するほどの方なら、きっとわかて居られるはずです(笑)
by グランチェスター公 (2007-10-16 11:12) 

ALBERT

> グランさん

仕事しなはれ! (笑)

うそうそ、いつもコメント有難うございます。m(_ _)m

3ヶ月の間に特効薬が開発されてくれればなぁ・・・という
淡い期待もむなしく、やはり医者のいうことは正しかったと
いうのが今の心境です。

心残りは、もう一度一緒に仕事をしたかったこと、ですね。

暗くなってしまうので、記事をアップしようかどうかずいぶん
迷ったのですが、数年後に読み返すであろう自分自身の
ためにも思い切って投稿しました。
m(_ _)m
by ALBERT (2007-10-16 17:19) 

りま

病状が厳しい状態にもかかわらず、ALBERTさんのお嬢さんのお名前まで記憶していて、しかも気遣ってくれるなんてすばらしい方ですね。

ALBERTさんの無念が、次に機会にはらされることをお祈りしています。
by りま (2007-10-17 00:00) 

ALBERT

りまさん、有難うございます。

どうして、いい人から先にいっちゃうんでしょうねぇ・・・
どうして、悪人ほど長生きするようになっているのでしょう?

優しくて、真面目で、人のことを自分の事のように考える人ほど内に
溜まってゆくストレスも大きく、また、そのストレスを外に吐き出さない
性格の人ほどダメージが大きいような気がします。
このかたはまさしくそのタイプの人なんです。

私は吐き出しまくりだから大丈夫だな・・・(笑)

残された時間もあとわずかなので、明日の夕方行くことにしました。
後悔のないよう、思う存分話してきます。
by ALBERT (2007-10-17 17:24) 

miyake

思わず泣いてしまいました。
by miyake (2010-07-09 18:23) 

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